MUUGI

MUUGI(ムーギ)は、身体がよろこぶ素材使いと着心地の良さを追求し、ファッションを下支えするアンダーウェアとしての最上を目指し、2020年6月にディレクターの近藤さんが始めたブランドです。会社員だったころ背中ニキビに悩まされ、シルクの下着との出会いをきっかけに、肌に優しく、ファッションの一部として使える下着を追求した近藤さんに体験談を交え、5つの質問をしました。
hatsutokiでは、MUUGIのラインナップの中から、シルクとメリノウールのインナーやカットソー類を取り扱っています。

会社員を辞め、MUUGIを立ち上げた理由、きっかけを教えて下さい。

自分の欲しいものがないから作りたい、というとてもシンプルな理由からです。欲しいと思う下着が見つからず、それならば作ってしまおうと思ったのです。
元々会社員として忙しい日々を送る中で、肌や体の不調が気になるようになってきました。例えば肌荒れ。背中ニキビや湿疹などに悩み、対策を調べるうちにシルクがよいということを知り、下着にシルクを取り入れるようになりました。また、下着の締め付けによる体の不調もあり、ブラキャミなど締め付け感の無い下着に切り替えるようになりました。その2つを満たす、シルクで締め付けの無い下着を探し求めたのですが、なかなか自分に合うものがなかったのです。リラックス過ぎるフィッティングで会社には着ていけなかったり、ファッションとして自分が着たいと思える雰囲気のものがなかったり。

MUUGI オリジナルシルク生地

色々な下着を試すうちに、こういうものがあったらいいのにという形がだんだん見えてきたのですが、探してもそういうものが売っていない。そして、無いのであれば作るしかないのでは・・?という思いに至りました。このときに頭の中に描いていたものが、のちにMUUGIのシグネチャーモデルとなる「シルクのカップ付きタンクトップ」として世に出ることになりました。
会社員としての仕事と並行して準備を進められればベストだったのですが、忙しくてなかなか進められなかったため、まずは会社を辞め、それから本格的にブランド立ち上げの準備を開始しました。よりどころが何も無い中で会社員を辞めることに不安はありましたが、それよりも、自分の頭の中にできあがった姿を形にできないもどかしさのほうが強かったので、迷いはありませんでした。

オリジナルで開発したシルクカットソー生地

「最高の脇役」という言葉を使われていますが、近藤さんにとってのファッションと下着の関係は?

ファッション好きな自分としては、下着をファッションとつながったシームレスな存在として捉えています。下着業界では、下着自体が主役となる製品づくりや見せ方が多いと思うのですが、日常の暮らしを考えてみると、ファッションをより楽しむことを下支えしてくれるような下着がもっとあってもよいと思っています。スタイリングを支える「脇役」として、洋服を引き立たせ、より出番を増やすためのサポートをしたい。だけど完全な黒子ではなく、下着自体も美しい存在として心も体も肌も満足させるものでありたい。そんな「最高の脇役」を目指したいと思っています。

素敵なお洋服たちの中には、インナー選びが難しいというものがありますよね。透け、生地の薄さ、胸元の開き、アームホールのカットライン、背中の開きなどなど。私自身、「この服を着てみたいけど、どういう下着を合わせたらいいのだろう」と思って買わずじまいだったり、あるいは買ったはいいものの合わせる下着がなくて出番がないという服もありました。露出の多いドレスなどに特化した専用下着もありますが、もっと毎日手に取れる日常的な下着として、洋服の着こなしを広げてくれるような選択肢が増えたらいいのにという思いがあります。日常的に着るためには着心地の点でも妥協できないので、私にとっては肌にやさしい天然繊維であったり、締め付け感のなさも大切です。その上で、ファッションの幅を広げたり、着づらかった服の出番を増やしてくれたり、スタイリングの一部として自然となじんだりするものがもっとあったらいいなと思っていますし、MUUGIがその選択肢のひとつになれたらと思います。

MUUGI ディレクターインタビュー
MUUGI ディレクターインタビュー

デザインのインスピレーションやアイデアはどこから来るものですか?

元々プロダクトデザインや日用品の商品企画をやってきたこともあり、「日々の生活」すべてがデザインのソースであり、インスピレーションの元になっていると思います。
ブランド立ち上げの際に一番初めに作ったシルクのカップ付きタンクトップは、最初にお話ししたように、私自身が毎日服を着て仕事に行く中で持ち続けていた小さな悩み、私的なニーズを具現化したことで生まれました。
今もその延長として、様々な洋服を着る時に、「これのインナーにはこういうのが欲しいなぁ」、「こういうシチュエーションにはこういう服が欲しいなぁ」という、日常的な自分のニーズを形にしていっていることに変わりはありません。自分の中の小さな悩みや違和感を探して、それを深堀りするような作業です。

近藤さん自身はMUUGIのアイテムをどのように着られていますか?

シルクアンダーウェアシリーズのセットアップにプラスして、そのほかのインナー類を重ねて着ることが多いです。トップスとボトムスそれぞれ、シルク+シルクやシルク+ウールであわせる感じですね。
年中履いているのが、メリノウールのインナーボトム。汗を吸って服への汚れを防いだり、ショーツの響きも気にならなくなったりと、一度履くと手放せないアイテムです。シルクショーツの上に、メリノウールのインナーボトムか、シルクのショートレギンスどちらかをいつも履いています。
春先から初冬はMUUGIのトップスを1枚で着られる季節なので、シルク、メリノウールカットソーともにアウターとして楽しみます。たとえばシルクのクルーネックロングスリーブは、意外と真夏でも使えるアイテム。暑い外を歩いてから冷房の効いた室内で過ごさないといけない時など、涼しくて暖かいシルクの薄手素材が重宝します。

真冬はインナーとして、シルクやウールのカットソーをニットなどの下に入れています。シルクのハイネックをレイヤードして見せたり、開きの広い服を着たいけど気温が低い日はメリノウールの長袖カットソーを中に着たり。シルクの半袖カットソーはクルーネックニットのインナーとしてもちょうど良いので、冬の出番も多いです。
というように、シルクのアンダーウェアのセットアップに、スタイリングに合わせてカットソーやインナー類を重ねる着方をしていますが、シルク、メリノウールともに、春夏秋冬どの季節でも快適に過ごせることを実感しています。

今後ブランドとして目指すこと、やりたいことは何ですか?

上質な天然素材を用いて、着心地がよく、そして普遍的で美しいデザインというコンセプトを基本としながら、より様々な体型をカバーしたり、ファッション的なニーズを満たせるよう、アイテムのバリエーションを増やしていくこと。そしてそれらを安定的にお届けできるような体制を作っていくことです。
ブランドを立ち上げて様々なお客様とコミュニケーションさせていただく中で、下着やインナーにまつわる細かなニーズ、ファッションの好み、体型にまつわる悩みをお伺いしていくと、「これさえあればよい」、「これは誰にでも合う」というものなど無いことにあらためて気づかされます。骨格診断、パーソナルカラーなども人気なように、万人に合うものではなく、自分に合うものを選びたいという人が今はますます増えていると思います。タンクトップひとつとっても、どんなネックの開きでどんなアームホールのくりで・・など、体型やスタイリングのニーズで求められるものは多様。もちろん形だけではなく、素材のバリエーションやサイズ展開、カラーラインナップも同様です。そういった様々なニーズを踏まえたバリエーション展開に、どこまで取り組んでいけるかというのが一つのテーマです。

そして、アンダーウェアやベーシックウェアを提供するブランドとして、「それらがいつも手に入る」というのも大事にしたいことの一つです。一般的なアパレルブランドはシーズン製品なので、一部の定番品を除くと来年にはもう手に入らないというものが多いですよね。せっかく見つけた自分にぴったりの製品が、また欲しい時に買えない、それで焦って複数枚買ってしまったりして。自分が消費者の立場としてそれがストレスだったので、MUUGIは、欲しい時にいつでも手に入るという体制を作りたいと思って、基本的にシーズンレスの定番展開としています。これはこれからもできる限り続けていきたいと思っていますが、一方で、一度出したらずっと変えないわけではなく、お客様の声を反映した改善を行い、ベーシックウェアとしての完成度を高めていきたいと思っています。そうすることで、全体のバランスを取りながらラインナップを進化させていきたいですね。

MUUGI ディレクターインタビュー 工場の様子

近藤さんのアンダーウェアやベーシックウェアに対する姿勢を聞いて、とても共感しました。良い素材でそも、着心地の良さと引き換えに値段が高かったり、縫製が難しく量産の効率が悪かったり、耐久性がよくなかったりと様々な問題があって世に出ていない良い素材がたくさんあります。作り手と共に問題に一つ一つ向き合い、ゆっくり時間をかけて解決出来た時、初めて市場にない素晴らしい製品が生み出されます。そうやって生まれた製品がたくさんの方に愛されるように願っています。
近藤さん、ありがとうございました。