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[w-face]hatsutokiの定番ができるまで

驚きの中に普遍的な美しさを秘めたテキスタイル

定番と呼べる素材がhatsutokiから初めて生まれたのがこの[w-face]と呼ぶテキスタイルでした。開発以来、多くの人に受け入れて頂けたのは、初めて見るような驚きの中に普遍的な美しさを秘めた素材だったからだろうと思います。染色した繊細な綿糸を機械によって、美しく織り上げるまでにはとても手間がかかります。染め、糊付け(毛羽を抑えたり糸の補強に使います)、織、仕上げ、それぞれの工程の中で、細かい工夫の積み重ねと、丁寧な仕事が必要です。

作り続ける難しさ

変化する環境の中で定番と呼べる物をつくり続けるというのは簡単な様で難しい。綿の品質は天候や、その国の情勢によっても毎年代わる、時代の流れの中で生産ラインの工場が閉じてしまうこともありました。頼っていた綿の生産が終わってしまうことや、技術のある工場がなくなってしまうことなど、その度に職人と新しい道を模索してきました。そして今シーズンも私たちの定番素材が変わらずに作り続けていることを今とても誇らしく思います。

何度も廃盤になりかけながらも

空気の様に軽く、柔らかく心地よい、ふわりと軽やかでいて、美しいドレープを描くこの生地。2013年にはじめてその原形を開発して以来、「これがコットン?」と多くの人を驚かせてきました。はじめて触れた人は誰もが驚くような素材、それは誰もが思う素朴なコットンの素材のイメージとはすこし違うものであったのだと思います。しかしこの生地は製造上の難関がいくつもあり、一筋縄では織れません。なんども失敗を重ね、廃盤になりかけながらも、どうにか作り続けたいと思い、挑戦し続けている素材なのです。

開発当初のこの生地は特に播州織産地の中でも規格外の生地といえるものでした。当時は手探りで試行錯誤を重ねてながら改良していきました。極細の繊細なコットン糸を、甘く、軽く織り上げるので、生産工程のちょっとしたことで糸が切れたり、傷になってしまうのです。しかしその風合い、肌触りに誰もが驚いてくれました。それから少しずつ改善を繰り返し、糸の密度の微調整や、最適な加工方法を探りながら、数シーズンがすぎる頃には、やっと安定して生産が出来るようになりました。

細部に渡って丁寧に

この生地を織り上げるのに、大変重要な工程の一つは染色です。細さ約0.1mmの綿糸は、通常シャツ地で定番的に使われる糸の2倍~3倍細く、これを先染めで織り上げるのは実はとても難易度が高いのです。糸を染める工程では、通常かなりの負荷が糸にかかってしまいます。高温の釜の中で、何度も繰り返し染料を入れていきます。そして今度は水が濁らなくなるまで残った染料を洗い落とします。そのような染色の工程を経るごとに段々と糸が弱り切れやすい状態となってしまうのです。染色後、濡れた糸を乾燥させる処理なども必要なのですが、ここで乾かし過ぎてもいけません。それぞれの工程で、時に生産性を犠牲にしながら細部に渡って丁寧に、そして特別な工夫を凝らしながら進めていきます。

*染色の釜の様子 / 糸の内側から外へ、圧を掛けて染料を染み込ませていきます。

自然のインスピレーションから生まれる

hatsutokiの生地は播州織の最大の特徴でもある、糸を先に染めてから織る「先染め」の技法によって作られています。生地を拡大して見ると、糸の色が複数のカラーで構成されているのが見て取れると思います。色味の異なる糸がタテ、ヨコに交わり色ができるので一見すると無地の様な色も、よく見るととても複雑に色が混ざり合い不思議で魅力的な色味が表現できるのです。この奥行きのある色味のインスピレーションは、自然豊かな西脇の四季折々の景色の記憶。自然の色、夕暮れの空、霧の朝、春夏秋冬の山の色。このような日々の景色のインスピレーションから、素材の糸・色の組み合わせのイメージを膨らませています。

産地の循環の中で生まれる

それぞれの工程で、多くの人の手仕事を経て、様々な工夫がなされ、やっと生地が出来上がっていきます。播州織の産地では、織物を作るための様々な工程がかなり細かく分業化されているのが産地的な大きな特徴の一つです。糸から生地へ、産地の中をぐるりと循環し、初めは私達の「イメージ」に過ぎなかったものが「形」となって再び私達の手に戻ってきます。

この産地の循環は、西脇の豊かな水資源に支えられています。山から雲ができ、雨となり河が流れ、そしてその水で糸が染められていきます。まるで自然の循環の中に生地の循環が重なりあい、この土地そのものから布が生まれているようにさえ感じられます。

そして私達自身の生活も、その循環の一つ。この土地の水をのみ、空気や光を感じ、そこからインスピレーションを得て生地をデザインする。この土地のにおいを感じるような、どこか懐かしく素朴で、美しい生地が自然の中から生まれて来るような、そんなことをテキスタイルを通して感じて頂けたらと思っています。

[w-face]テキスタイルを使用した製品

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